SEの仕事よりも、まずは会社と契約の仕組みを理解させる【新人むけ】

ほとんどの新入社員は会社に入社して直後、研修を受けるでしょう。

その後、先輩SEやチューターなどと言われる人について仕事をしながらSEの仕事を学ぶという事をしていくはずです。

最初は先輩SEから指示をされてプログラミングから取り組んでいくかもしれない。またはプログラムのテストから徐々に会社内での業務を覚えていく事でしょう。

具体的な実務に慣れるためにとても重要な事だと思いますがそれよりも重要だと感じている事があります。そしてこのことは多くの会社では新入社員に対して教えていないように思います。

今日は実務やプログラミングなんかよりも大事な「会社のしくみ」「契約のしくみ」についてお伝えしたいです。

なぜなら会社のしくみを知らないと、会社が向かっている方向とは違った方向に進んでしまう可能性があるからです。仕事の中で大事な判断や選択に迫られた時に何を基準にして判断したらよいかわからなくなります。

契約のしくみを知らないと今この仕事は何のためにやっているのか、どこがゴールなのかわからなくなる事もあります。プロジェクトの規模と金額と人月を理解すれば時間とお金の意識が芽生えます。

また、判断や優先順位に迷った時に契約内容を確認することで解決できる場合があるのです。

そういったことに陥らないために今日の記事は読んでいただきたいですし、先輩SEでまだ後輩に教えていない人はSEの仕事は横に置いて、スグにでも教えるようにして欲しいです。

 

会社のしくみ

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別にSEじゃなくても営業マンでも販売員でも会社に入ったら会社の仕組みを知っておいて損はありません。

さて、SIerやWeb系の企業だけでなくすべての会社は何によって運営されてるか、という事ですが、これはオーナーです。

社長がオーナーの場合もあるし、オーナーがどこかから優秀な人をひっぱってきて社長に据えて(この人は雇われ社長)、社長に会社の運営を任せてる場合もあります。

すなわち会社というのはオーナーの目標、夢を叶えるために作ったものだという事です。そしてオーナーは株主です。

オーナーの目標を叶えるために社長に任せ、指示し、社長はオーナーの目標を達成するためにいわゆる部長へ、そして課長へ、そして係長へ、そして平社員へ指示系統があるのです。

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なので社員はどこを見て仕事をするかと言ったらオーナー(株主)の目指すところを向く必要がある、という事です。ただし株主が会社内をウロウロしていちいち社員に指示なんかしません。なのでオーナーの意思を受けた社長の指示を受けた上司の指示の元に仕事をする、という事なんです。

会社には企業理念とか価値観とかミッションステートメントと呼ばれるモノが掲げられている場合があります。それはオーナーの想いが込められた重要なワードです。そこも確認しておくとよいでしょう。そういえば日本で一番儲かってる企業の1つである三菱商事の「三綱領」などがそうです。

余談ですが、私は以前半官半民の企業に勤めていたことがあります。「儲からない事はわかってるけど技術を開発して世の中に知って頂く」命を受けてシステム開発をしていた時期があります。普通の民間企業は利益を出す事を目的としてるわけですけど、半官半民だけに利益よりも社会への貢献などを理念として仕事にあたる事もある、ということですね。

 

SEの仕事のしくみを知るには、契約書を見ろ

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会社のしくみがわかったところで、SEならではの話をしたいと思います。

SEということになると一般的にはお客さんが居ます。社内SEはお客さんは居ない場合がありますけど。

でシステム開発請負を受注したり、SES契約で他社に売られて行ったりしますが、いずれにしてもお客さんがいます。

このとき重要なことはあなたが携わる仕事の「契約書」を読んでおく方が仕事が捗るという事です。契約書には様々な事が書かれています。2年目、3年目の社員でも契約書読んだこと無い人が居るんですビックリ。

  • お客さんの会社の名前・部署
  • 契約形態
  • 契約期間
  • 契約金額、支払い日
  • 納品日、納品物、納品の形態、品質レベル
  • 瑕疵担保責任
  • 損害賠償、違約金

他にもいろいろ書いてあると思いますが、書いてある内容が難しい言葉で書いてあるので、重要なとこだけ抽出するとこんな感じです。ここだけは確認しておきましょう。それから契約書に付随するものとして仕様書や日程表などもあれば、新入社員でも要確認です。

細かいけど

お客さんの会社の名前・部署

新人SEは自分の仕事に一生懸命でお客さんとなる会社、部署が誰であるか知らずに仕事をしている場合があります。社内での会議でも話に出るし議事録を書く際にも必要となるでしょう。お客さんの名称を把握することは仕事の理解にも繋がります。社内での会話についていくためにも覚えておくと得です。

契約形態

SEの仕事の契約形態では「システム開発請負契約」や「業務委託契約」や「SES契約」(委託の一種)が取られる事が多いはずです。

次のように理解しておきましょう。

・請負契約 → 納品物が決められている。いわゆるシステム開発をして納品するところまで請け負うの契約のこと。

・委託契約 → 顧客の業務を「委託」しますよ、という契約。委託する範囲が書かれていて、役務やノウハウの提供をする契約。納品物は無い。

・SES契約 → システムエンジニアリングサービス契約。委託契約の一種。客先で働く。やはり納品物は無い。

 

請負契約は納品物を伴う契約であり、委託契約(SES契約)は納品物を伴わない、役務を提供するのみの契約です。

また、いずれも指示の系統は自社にあります。SES契約は客先に常駐して仕事にあたりますが顧客の指示によって業務を行うのではなく自社の上司・責任者の指示で動く契約です。

請負契約は基本的に納品物を納品日までにしっかり収める以外に制約はありません。よって、システム開発を子会社や親しい企業に外注(請負契約)することもできます。あるいは他社からSES契約で自社に来てもらって業務を委託する事も可能です。彼らの事を協力会社さん、なんて言ったりもします。

上下関係は 顧客>自社>協力会社 ですが、協力会社に対して威張ったり無理強いをしちゃ駄目ですよ。

また、請負契約時に顧客によって外部に漏らしてはいけない社内情報の「秘密保持」が明記されてる場合があります。その時は外注先とも秘密保持への誓約書を書かせたり契約をする場合があります。

会社によってはシステム開発なのに「業務委託契約」でやってる会社もあるとか。このへんは会社間のやりとりで定めていて請負契約だと手続きが面倒だとか、固定資産になるから委託でやるとか、まぁそういう感じのゴニョゴニョだと思います(爆)あれ、開発なのに委託になってるなと思ったらよく先輩や上司に聞いてみましょう。

契約期間、契約金額、支払日

いついつから契約をスタートし、いつ終了するかが記載されています。契約金額を確認することは重要です。自分が携わってる仕事がどれほどの規模かわかります。この仕事に携わってる自社の人数で割り算し、契約期間で割れば1人あたりいくら1ヶ月にどれだけ売上を上げるか概算がわかるはずです。またはSES契約の場合、自分1人がいくらで売られたのか理解できます。支払いは一般的には請求書を発行してお客さんから銀行振込などで手続きしてもらう形です。支払日についても記載されているでしょう。

納品日、納品物、納品の形態、品質レベル

請負契約では納品物の取り決めがあります。納品日は契約期間終了前になってるはずです。通常はシステムが出来たらお客さん側で検品(この業界だと受入試験と呼ぶのが一般的)をする期間があり、その後問題なければOKが出て契約期間が終了し、請求書を発行する流れになります。この時、検品でバグが出てしまったら大変です。契約終了前にシステムを修正して再度提出して検品してもらわなければいけません。

検品で顧客の要望を満たしていないと対応をしなければなりませんので、検品日→契約終了日が近すぎるのは危険です。この契約は失敗する可能性があります。契約終了後も無償での追加労働を提供しなければいけない可能性があります。

納品の形態は電子媒体で納品とか、顧客のサーバーにインストールして納品とか、そういう事が書かれています。

瑕疵担保責任、損害賠償、違約金

契約した時のこちらがわの責任範囲が書かれています。またチョンボしたときの損害賠償や違約金についても確認しましょう。できるだけ不利になっていない契約にできればいいんですけど。契約したのは上司の課長や部長かもしれませんが、新人SEとはいえこの部分はチェックしておきましょう。

システム開発の請負契約で「瑕疵担保責任」というのは契約時の顧客側の要件を満たしていない事です。いわゆるバグが発生したらどうするの?という事が書いてあります。基本的にバグに対しては1年以内に発見されれば無償で修正する必要があります。(契約内容によって瑕疵期間も変わります)

 


契約に基づいて仕事が始まると色んな事があります。その中で判断に迷う事があれば契約書を確認します。お客さんと口頭やメールでやりとりがあります。何か依頼をされても契約書に書かれてない事はやる必要が無いですし、また契約書に書いてるレベルじゃなくてもいい、などと言われても、それもよく確認しなきゃいけません。

お客さんのため良かれと思って、付加価値、と思ってオマケしてあげたりすることはSEだったらやってしまう事もあるでしょう。けど、軽はずみにするべきじゃありません。あなたの余計な稼働時間は誰が賃金を払うんでしょうか?それは会社のオーナーが払うんです。オーナーはそんな事まで望んで無いかもしれません。

 

社内SEの場合

社内SEの場合はお客さんが居ません。自社内の人間が実質お客さんという場合が殆どでしょう。このような状況では契約書は勿論ありませんので上司の指示によって動く事になるでしょう。契約書は無くても企画書や仕様書はあるはずですのでそれをチェック。また自分1人で社内システムのお守りをするような職場では実質自分がトップですのでオーナー思考になって自分主体で行動する事が望まれます。

 

あとがき&まとめ

私も昔、痛い目を見たことがあります。
契約書はあるものの納品物のレベル、品質についてはお客さんの担当者とメールでやりとりしていました。さて、納期が近づいた頃、相手の担当者が異動になって変わってしまったのです。担当が変わったら「今の品質では納品を受け入れない、契約書を見ろ」という話になってデスマーチになってしまったのです。

こんなことはよくある話かもしれません。なってからでは遅いのです。会社のしくみ、仕事の仕組み、契約書について理解してないといけないという事です。しかも私がチョンボしたのは新入社員の時です。若手に重要な仕事をやらせる会社もあります。なので新入社員であっても今日お話した内容、知らないで良い事は何もありません。スグにでも確認を。

会社のしくみや契約の内容を把握することは新人SEの仕事の進み具合にも影響するでしょうし仕事の理解も早まります。プログラミングのお勉強やデバッグの仕方やVisual Studioの使い方を覚える事よりも重要です。新人の面倒を見ている先輩SEでも今日の投稿の内容を十分理解してない人もいるかもしれないですね。この機会に理解してもらって、後輩に指導してあげてください。

 

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